9回目までで春よ恋・キタノカオリ・ブレンドを試してきたが、今回はキタノカオリ100%で丸パンに挑戦。さらに二次発酵を2環境に分けて焼き色を比較するという意図せず生まれた実験回になった。
今回の検証ポイント
- 粉構成: ついに**キタノカオリ100%**で試す
- 二次発酵環境の比較:
- 9個: オーブン庫内(35℃発酵機能)
- 9個: 室温(24.7℃)
- 成形: 丸パン(8回目と同じ、丸めるだけ)
| 8回目 | 9回目 | 今回(10回目) | |
|---|---|---|---|
| 粉構成 | 春よ恋 500g | キタノカオリ250g + 春よ恋250g | キタノカオリ 500g |
| 形態 | 丸パン | ロールパン成形 | 丸パンに復帰 |
| 二次発酵 | オーブン35℃ | オーブン35℃ | 半分オーブン / 半分室温 |
| 焼成 | コンベック190℃ | コンベック190℃ × 2回分割 | コンベック190℃ × 2回分割 |
条件
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 開始時刻 | 18:00 |
| 室温 | 24.7℃ |
| 湿度 | 70% |
| 天気 | |
| 日付 | 6/22 |
配合(食パン定番と同一)
| 材料 | 分量 |
|---|---|
| プロフーズ キタノカオリ | 500 g |
| 砂糖 | 20 g |
| 塩 | 7 g |
| ドライイースト(とかち野 予備発酵タイプ) | 12.5 g |
| 予備発酵用 お湯 | 100 g |
| 予備発酵用 砂糖 | 5 g |
| 牛乳 | 180 g |
| 水 | 70 g |
| 無塩バター(常温戻し) | 50 g |
工程
- 予備発酵 → 一次こね → バター投入 → 一次発酵45分(食パン定番と同じ)
- 分割・ベンチタイム: 50g × 約18個に分割、軽く丸めてベンチタイム15分
- 成形: 丸めるだけ
- 二次発酵の振り分け:
- 9個を天板1枚目に並べてオーブン庫内(35℃発酵機能)で発酵
- 9個を天板2枚目に並べて室温(24.7℃)で発酵
- 焼成: コンベック190℃ で 10〜12分(2回に分けて焼成)
進行ログ
オーブン発酵側 二次発酵後

オーブン庫内(35℃)で二次発酵を終えた5個。キタノカオリ特有のカスタード色が明確に出ている。クリーム〜薄い黄色で、過去の春よ恋やゆめちからとは明らかに違う色味。焼成前の段階でこの黄色みなら、焼き上がりのクラム(中身)はもっと黄色くなりそう。
表面は滑らかでぷっくり丸く、二次発酵の見極めは良好。
配置の知見: 1段5個はギリギリ、2段9個が最適
5個を並べた時点で既に隣同士が触れそうな間隔になっていることが明確に分かった。50gの丸パン生地は二次発酵で1.5〜2倍に膨らみ、直径6〜7cmまで広がる。
家庭用オーブンの天板(30×40cm相当)への現実的な配置:
- 1段あたり4〜5個: 安全圏(5個はギリギリ、4個が無難)
- 6個以上: ほぼ確実にくっつく
コンベックの2段構成を活かすと、1段4〜5個 × 2段 = 9個 を1回の焼成で焼ける。18個ぶんを9個×2回焼成で完了するのが理想的なリズム。8回目で18個を1度に詰めてくっついた失敗の原因がはっきりした。
仕上がり(途中経過)

写真左側が1回目焼成(室温発酵)、右側が2回目焼成(オーブン発酵):
- 室温発酵側(左): しっかりとしたきつね色、表面ツヤあり、ぷっくり膨らんで理想的
- オーブン発酵側(右): 焼き色が明らかに薄く、白っぽい部分が多い
同じ温度・時間で焼いたにも関わらず、発酵環境の違いだけで焼き色がここまで変わるのは大きな発見。
焼き色差の考察
仮説:
- オーブン発酵中の表面乾燥: オーブンの発酵機能(35℃の熱風)で生地表面がやや乾燥 → 表面の糖分が水分と反応しにくくなり、メイラード反応が弱まった可能性
- 室温発酵のほうがゆっくり発酵 → 糖の分解が進みやすい: 結果として焼き色付きの素材(還元糖)が表面により残った可能性
- 発酵環境による含水率の違い: オーブン発酵だと表面が乾く一方、室温だと適度に湿潤を保てた
過去9回はずっとオーブンの発酵機能を使っていたので、もしかすると今までももう少し焼き色を出せた可能性がある。室温発酵が選択肢として浮上。
重要な気付き: 霧吹きの湿度要因仮説
これまで二次発酵前の霧吹きをしてこなかったことに気付いた。霧吹きの役割を整理すると:
- 生地表面に水分を補給して乾燥を防ぐ
- 発酵中、生地が膨らんで表面が伸びるとき、乾燥していると表面が引きつって膨らみが妨げられる
- 焼成時の蒸気として作用し、表面が滑らかに伸びる+メイラード反応を促進
今回の結果を再解釈すると:
| 室温発酵 | オーブン発酵 | |
|---|---|---|
| 周囲の湿度 | 70%(梅雨で高湿度) | 庫内は乾燥気味 |
| 生地表面 | 湿潤が保たれた | 35℃熱風で乾いた |
| 結果 | 焼き色しっかり | 焼き色薄い |
つまり、梅雨の高湿度(70%)が結果的に「霧吹きと同じ効果」を生んだ可能性が高い。オーブン庫内は密閉空間で35℃熱風が表面の水分を奪うので相対湿度が下がり、生地表面が乾燥。一方、室温の70%湿度は表面の乾燥を防ぐのに十分だった。
これは過去9回全体への波及効果のある気付き:
- 過去9回の食パンも、霧吹きしていれば焼き色がもっと出ていたかもしれない
- オーブン発酵でも、霧吹きするとこの差は埋まる可能性が高い
- 冬場の乾燥した室温(湿度40〜50%)だと、室温発酵でも今回みたいに焼き色しっかりは出ない可能性
振り返り
仮説検証の結果
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| キタノカオリ100% | 仕上がり良好、もっちり感が前面に |
| 二次発酵環境の影響 | 明確に焼き色に差 ✓ |
| 室温発酵 24.7℃ | 焼き色しっかり、おすすめ |
| オーブン発酵 35℃ | 表面が乾燥気味、焼き色控えめ |
| 真の主因(仮説) | 生地表面の湿潤度 |
新しい発見
二次発酵環境の湿度が焼き色を決める:
- 「オーブン発酵 vs 室温発酵」の差ではなく、**「生地表面が湿潤かどうか」**が本質
- 今回は梅雨の高湿度のおかげで、室温発酵でも生地表面の湿潤が保たれた
- オーブン発酵側は霧吹きをしていなかったため、庫内の乾燥で表面の水分が失われた
- 霧吹きを習慣化すれば、オーブン発酵でも焼き色しっかりが期待できるはず
次回に向けてのメモ
- 二次発酵前に霧吹きを必ずすることを習慣化
- オーブン発酵 + 霧吹きで焼き色がしっかり出るか検証(湿度要因仮説の確認)
- 霧吹きあり / なしで2グループに分けて比較実験
- 冬場の乾燥期に室温発酵を試して、湿度の影響を再確認
- キタノカオリ100%の食感・香りを記録(断面写真も)
- 発酵途中(30分時点)にもう一度霧吹きする流派も試したい
- 天板1段4〜5個、2段で9個ルールを採用(18個なら9個×2回焼成)