27回目プチパンが家族に大好評(朝食1回で完食)だったので、リスドォル路線を継続。今回は分割の手間を減らしたいという祥平さんの意向を受けて、粉500gで**カンパーニュ2個(1個約430g)**に挑戦。通常発酵で今夜中に焼き上げる。

さらに今回、倉庫に眠っていた大正電機SK-15発酵器がついにデビュー。日誌の重要マイルストーン、初仕事がカンパーニュという絶妙なタイミング。

今回の検証ポイント

  1. リスドォルで大型ブールの焼き上がり
  2. 通常発酵での挑戦(プチパンはオーバーナイト、今回は当日完結)
  3. 分割1回のみという楽な運用
  4. 加水69%の大型パンでの焼成時間・温度
  5. 家族4人以上向けの大型リーンパンの実力

SK-15発酵器デビュー

SK-15発酵器での二次発酵、ザル+キッチンペーパーの簡易バヌトン

大正電機 Taisho SK-15発酵器、倉庫に眠っていたものがついにデビュー。母から譲り受けたお古で、日誌開始から「デビュー未実施」としてずっとPENDINGだった一台。初仕事がカンパーニュという絶妙なタイミング。

SK-15の特徴:

  • 温度調節ダイヤル: 20〜40℃
  • タイマー付き
  • ボトムに水受けの角バット → お湯を張って湿度確保
  • 白と緑のクラシックなデザイン
  • ジップアップ式の透明カバー → 中身が見える

今回の使い方:

  • 設定温度: 30℃
  • 湿度確保: 底に水受けバット
  • ザル2個 + キッチンペーパーの簡易バヌトン — カンパーニュ成形の伝統テクニック
    • 本来は籐製のバヌトン(発酵かご)を使う
    • ザル+キッチンペーパーで代用、粉つけて生地を支える
    • 大型カンパーニュは自重で潰れやすいので、支えが必要

オーブン発酵との違い(今後の運用):

  • オーブン発酵は他の作業と競合する(同時進行不可)
  • SK-15は発酵専用機、オーブンで焼成しながら次のバッチを発酵できる
  • 温度・湿度の安定性が段違い
  • 特に大型パンや複雑な工程で威力発揮

過去のハード系(27回目プチパン)との違い

項目27回目プチパン28回目カンパーニュ
発酵方式オーバーナイト(10時間)通常発酵(一次60〜80分)
分割40g × 21個約430g × 2個
加水68%69%(1%増、大型で水分キープ)
発酵環境オーブン35℃SK-15発酵器 30℃(デビュー)
焼成240℃×15分240℃×約25〜30分(大型で長時間)
クープ十字 or 一本今回はクープなし(高加水で失敗、次回リベンジ)

成形後・二次発酵完了

二次発酵完了、ザルからクッキングシートへ移した状態

SK-15発酵器30℃で二次発酵完了、ザル+キッチンペーパーの簡易バヌトンから、パーチメントペーパー敷きの天板へひっくり返して移動。2個ともいい膨らみで丸く出来上がった、二次発酵は完璧。

クープ入れの失敗と判断

加水69%の高加水生地はクープが難しいと実感。手前のパンにナイフを入れたが:

  • ナイフに生地がくっつく → 引っ張られて綺麗に切れない
  • 表面が湿っている → 切り口がすぐ閉じる
  • 切り込みが浅くて広がってしまう

包丁ではダメと判断、カッターや剃刀の刃も準備していなかった。無理に何度も切って生地を傷めるより、今回はクープなしのブールとして焼く決断。

この判断の意味:

  • 田舎パンの原型はもともとクープなし、クープは装飾要素
  • 表面のなめらかさを活かした素朴な姿
  • 失敗を認めて次に持ち越さない
  • クープなしでも焼成中に自然な割れ目が出る可能性

次回への学び

  • 加水69%は表面が湿ってクープが難しい
  • クープを優先するなら加水を65〜66%に下げる
  • カッターナイフ or 剃刀の刃 + 油を必ず準備
  • 成形後、少し表面を乾かしてからクープを入れる
  • 今回のように高加水を優先するなら、クープなしで焼く割り切りもアリ

条件

項目値
仕込み開始18:00頃
焼成予定21〜22時頃
発酵環境オーブン35℃
室温
湿度
日付9/22

配合(リスドォル100%、加水69%)

材料分量粉比備考
プロフーズ リスドォル500 g100%準強力粉
塩10 g2.0%27回目と同じ
とかち野酵母(予備発酵タイプ)4 g0.8%27回目と同じ
予備発酵用 お湯(40℃)60 g-27回目と同じ
予備発酵用 砂糖2 g-27回目と同じ
モルトパウダー1.5 g0.3%27回目と同じ
水285 g57%+5g(27回目の280gから微増)

加水合計: 345g(69%) — プチパンより1%増 生地総量: 約860g → 約430g × 2個

工程(通常発酵版)

  1. 予備発酵: お湯60g + 砂糖2g + とかち野4g、10分待って泡立ちを確認
  2. 一次こね: KN-1000で
    • 粉500g + 塩10g + モルトパウダー1.5g を軽く混ぜる
    • 予備発酵液 + 水285g を加える
    • 10〜12分こね(バターなし)
  3. 一次発酵: 35℃で 60〜80分(2倍以上に膨らむまで、通常発酵なので気持ち長め)
  4. 分割: 約430g × 2個、キッチンスケールで正確に
  5. ベンチタイム: 20〜25分(大型ブールは長めのベンチタイム推奨)
  6. 成形: 表面を張らせて丸める(プチパンより丁寧に、大型なので張り不足だと膨らみが悪い)
  7. 二次発酵: 30℃で 50〜60分(大型は膨らみに時間がかかる)
  8. クープ: 十字 or ハッシュタグ(#)、田舎パンらしく大胆に
  9. 焼成準備: コンベック240℃予熱 + 天板に霧吹き
  10. 焼成: 240℃×25分 → 断面確認 → 必要に応じて追加5分

大型カンパーニュならではのポイント

加水69%の意味

  • プチパンより1%だけ増やして水分キープ
  • 大型パンは焼成中の水分蒸発が多い、加水少ないとパサつく
  • 70%以上にすると成形が難しくなる、69%が扱いやすい上限

ベンチタイム・二次発酵を長めに

  • 大型パンはグルテンの緩みに時間がかかる
  • 二次発酵不足だと、焼成中に生地が裂けやすい
  • 逆に過発酵だと、焼き上がりに空洞ができやすい

クープの入れ方(田舎パンの美学)

  • 十字: 最もシンプル、初めての大型ブールに最適
  • ハッシュタグ(#): 4本のクープで正方形の中心を作る、田舎パンの定番
  • クロス(X): 対角線2本、モダンな印象
  • 深さ5〜7mm、生地表面から45度の角度で

240℃×25〜30分の焼成

  • プチパン(15分)の約2倍の時間
  • 中まで火を通すため
  • 途中で焼き色が濃くなりすぎたら、220℃に落として調整
  • 底面の音でチェック: 指でトントン叩いて軽い音(乾いた音)なら完成

予想される変化・観察ポイント

  • 通常発酵での生地の膨らみ具合(60〜80分で2倍以上か)
  • 430gの成形の張らせ方
  • 二次発酵50〜60分での膨らみ
  • クープの開き具合(十字 or ハッシュタグ)
  • 焼成時間の適正(25分 or 追加必要)
  • クラスト(皮)のガリガリ感
  • クラム(内相)の気泡分布 — プチパンとの差
  • 家族評価 — プチパンとの好み比較

仕上がり

カンパーニュ1個目の焼き上がり

240℃で25分焼成、綺麗な焼き色。しかしまんまるにはならず、饅頭のように横に広がった。

  • 焼き色は均一なきつね色、田舎パンらしい落ち着いた色合い
  • 表面のマット質感、打ち粉の跡と焼き色のグラデーション
  • クープなしでも表面に大きな破裂なく、なめらかに膨らんだ
  • サイドがやや広がって、ドームというより饅頭型
  • 底のフチが少し外に広がった → 生地が横方向に流れた

2個並んだカンパーニュ、2個の焼き色が違う

2個の焼き色に差があった:手前は薄めのきつね色でパンケーキ状に平べったく、奥は濃いめのきつね色でところどころ焦げ気味の斑点あり。オーブン内の熱ムラ、または前後入れ替えの有無が原因と推測。

断面(クラム)

カンパーニュの断面、理想的なクラム構造

見た目は横に広がっても、クラムは完璧な仕上がり — フランス系ハードパンの理想的な内相。

  • 大小の気泡が不均一に分布 — フランス系ハードパンの理想
  • 上部(クラスト側)に大きめの気泡 — 焼成中の膨張で上に集まった
  • 下部は少し細かめ — 自重で気泡が押しつぶされた自然な差
  • 色は白〜クリーム色でツヤあり — 焼き加減完璧、しっとり感キープ
  • 気泡膜が薄くて光ってる — 良質な発酵の証、グルテン膜が伸びている
  • クラストは薄めで境界がはっきり — セミハードの理想

振り返り

大成功: 「外カリッ・中もちもちの理想の食感」を達成

家族の食感評価「外カリッ・中もちもちの理想の食感」 ✓

見た目は横に広がったが、パンとして最も大事な食感が完璧に達成された。見た目より本質が大事という良い教訓。

理想の食感を達成した要因

  1. 加水69%の高加水 — 中のもちもち感を生む
  2. リスドォル100% — 準強力粉のしっかりしたグルテン
  3. 240℃×25分の高温焼成 — 外のカリッと感を作る
  4. モルト0.3% — クラストのメイラード反応強化
  5. SK-15発酵器の安定した二次発酵 — グルテン網が理想的に伸びた

見た目 vs 食感の整理

項目評価原因
見た目(形)△加水69%で横に広がった
焼き色○モルト + 高温焼成
クラスト○カリッと理想通り
クラム◎気泡分布が完璧
食感◎ 理想全要素の総合結果
クープ×高加水で失敗

プチパン(27回目)との違い

項目プチパンカンパーニュ
形個別小型(40g)大型(430g)
クラム気泡中〜細かめ、均一寄り大小混在、上下でグラデーション
クラスト全体的にカリッとサイドはカリッ、底は少し重い
食感外カリッ・中もちもち外カリッ・中もちもち(理想)
食べ方手軽なおやつ・食事パン切り分けて食卓の主役に

SK-15発酵器デビューの評価

  • 温度・湿度が安定 — オーブン発酵より制御しやすい
  • オーブンと並行運用可能 — 効率アップ
  • 今後の量産・複雑な工程で必須の存在に
  • 母から譲り受けたお古が現役復帰、日誌の重要マイルストーン

今回の失敗ポイント

  1. クープ入れの失敗 — 加水69%の高加水生地には包丁が不適
    • カッターナイフ or 剃刀の刃を準備すべきだった
    • 表面が湿ってクープが広がってしまう
  2. 2個の焼き色に差 — オーブン内の熱ムラ
    • 途中で前後入れ替えすべきだった
  3. まんまるにならない — 加水69%で横広がり
    • 見た目重視なら加水66〜67%が推奨

次回に向けてのメモ

カンパーニュ・リベンジ計画

「食感」を優先するなら:

  • 今回のレシピをそのまま定番化(加水69%キープ)
  • クープなしor簡易クープで割り切る
  • 見た目は「素朴な田舎パン」で受け入れる

「まんまる & クープ入り」を優先するなら:

  • 加水を66〜67%に下げる
  • 成形を強く張らせる
  • カッターナイフ or 剃刀の刃を準備、刃に油を塗る
  • 成形後、表面を少し乾かしてからクープ

その他のアイデア

  • 焼成途中で前後入れ替え(焼き色ムラ解消)
  • 断面気泡のプチパンとの比較写真
  • 家族の食味評価(プチパンとの比較)
  • ライ麦・全粒粉入りカンパーニュ
  • クルミ・レーズン入りアレンジ
  • ダッチオーブンでの焼成(まんまる & 蒸気確保)
  • 粉900gでカンパーニュ4個(家族5人朝食完食対応)